プエルトリコってどんな国?気候・言語・料理・ビザ~世界中が注目している?

プエルトリコといえば、どんなイメージを抱くでしょうか。野球が強い?海に囲まれたリゾート地?実はそれだけじゃなく、複雑な立場におかれた、世界中から注目を浴びている国でした。 


プエルトリコってどこにあるの?

もしかしたら「プエルトリコってどこ?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。プエルトリコはカリブ海の北東、西インド諸島に位置します。ハイチとドミニカ共和国からなるイスパニョーラ島のすぐ東に浮かぶリゾート島です。

日本からプエルトリコは、直線距離13,422km。地球約1/3周分です。こう聞くとなんだかとても遠いような気がしますね。日本からは直行便もなく、アメリカで飛行機を乗り継いで行くのがおすすめです。 


プエルトリコは一年中温暖な気候。ハリケーンに注意

プエルトリコは、フィリピンや台湾と同じ熱帯気候に属しています。一年中20~30℃程度の温暖な気候で、時期による大きな変動はありません。年によって多少の違いはありますが1~3月頃は乾季となり、雨が少なく気温も低めで過ごしやすい時期となります。

雨季の中でも7~10月はハリケーンがたびたび襲来します。2017年9月にもハリケーン「マリア」により甚大な被害がありました。 

プエルトリコの言語はなに?英語は通じる?

プエルトリコの公用語はスペイン語と英語とされています。母語はスペイン語ですが、一般市民でもほぼ問題なく英語を話せます。プエルトリコの公用語がスペイン語と英語な理由は、その歴史を紐解くとわかります。 

<参考>こちらの動画では、ハンバーガーショップにて店員さんと英語でやり取りしている風景を見ることができます。(13:04あたりから) https://youtu.be/AAenrLaHuEQyoutube 

プエルトリコの人種構成は?

プエルトリコの歴史から、人種構成はどのようなイメージを抱くでしょうか。スペイン統治が長かったから、ラテン系民族が多い?アメリカ自治領になったから、移民が増えた?それとも、原住民も多く残っていると思いますか?

アメリカの国勢調査局によると、2019年時点で白人64.3%、黒人またはアフリカ系アメリカ人12.4%、アジア系0.2%、その他が15.9%、混血の方が7.1%とのことです。プエルトリコに住む方の多くは白人でした。インディアンの方はデータなし。もう殆ど住んでいないようです。



プエルトリコに世界が注目する理由!プエルトリコの歴史は波乱万丈

現在のプエルトリコはアメリカの統治下にあり、アメリカ全土と自由に行き来できるようになっています。これが、プエルトリコで英語が通じる理由です。また、アメリカの統治下にあるという特殊な状況を原因として、世界中から注目が高まっています。ここに行きつくまでの流れを、分かりやすく物語調でご紹介します。

 プエルトリコの始まり

プエルトリコとその周辺地域にはもともと、タイノ族というインディアン部隊が住んでいました。彼らは自分たちの住む島を「ボリンケン(勇敢な王の国)」と呼び、誇りに思っています。

 ある日そこに、大きな船に乗った冒険家が通りがかりました。彼の名はコロンブス。大航海時代に突入したスペインからやってきました。コロンブスはボリンケンを見て「プエルト・リコ(美しい港)」だと思いました。

 スペインに帰還したコロンブスから「プエルト・リコ」の話を聞いた王様は、探検家のポンセ・デ・レオンを派遣しました。ここから、ポンセ・デ・レオン指揮のもと、プエルトリコはスペインに支配されるようになります。


 スペインによるプエルトリコの統治

まずは金の採掘を始めました。プエルトリコ中の金が掘りつくされると、今度は定住型の農業を始めました。当時ラテンアメリカで行われていた農業は、植民地に奴隷を連れてきて大規模な農園を築いてその土地にあう作物を作り、支配国に輸出するかたちがメインでした。その中で、プエルトリコではそれほど奴隷を利用せずに、小さくショウガを栽培していました。

 プエルトリコ以外にも、スペインはどんどんアメリカ大陸に進出していきます。それを観ていたほかのヨーロッパ諸国も黙ってはいられません。スペインに遅れをとるまいと、船に乗りアメリカ大陸を目指します。スペインはこれを阻止するために、プエルトリコにたくさんの要塞を築きました。


スペインからの独立?!

何度かヨーロッパ諸国や海賊の襲撃にあいながらも、プエルトリコはスペイン統治下で発展してきて、ついにスペインからの独立を目指すことにしました。このとき同じくスペインの支配下にあった、お隣キューバと一緒に立ち上がります。

 しかし程なくしてアメリカとスペインの戦争に巻き込まれ、キューバもプエルトリコもアメリカに占領されてしまいました。そのままスペインは敗戦。プエルトリコはアメリカの支配下に置かれ、なんと国名も英語読みの「ポルトリコ」にされてしまいました。

プエルトリコはアメリカ領に

アメリカの支配下に置かれたプエルトリコでは、急速な資本主義化が進められていきました。島に電気を引いたり、農業技術を発展させたり。産業が発展して便利になる一方で、島民の自由も広がっていきました。アメリカ本土と自由に行き来できるようにもなり、国名も「プエルトリコ」に戻してもらえました。

 でも、良いことばかりではありません。島民たちの中で貧富の差が拡大してしまったのです。土地や職を失った島民たちは、仕事を求めてアメリカ本土へ移住することにしました。こうしてどんどん人口が流出していく中で、産業も停滞し、国の運営が厳しくなり、ついには財政破綻まで追い込まれてしまいました。

プエルトリコのこれから

プエルトリコは、財政破綻後もアメリカ自治領として置かれています。この複雑な状況は常に議論の的になっています。「アメリカ自治領の立場を継続しよう!派」「アメリカの52番目の州に昇格しよう!派」「アメリカから完全に独立しよう!派」3つの派閥でせめぎあっています。プエルトリコは今後、財政の立て直しをどうするのか、国の在り方をどうするのかについて議論が続けられていて、さまざまな角度からも今後の動向が注目されているのです。



プエルトリコの世界遺産はスペイン統治の名残?

プエルトリコの首都サン・ファンは、世界遺産認定されています。プエルトリコがスペイン統治下にあったとき、ヨーロッパ諸国や海賊からカリブ海域を守るために、たくさんの要塞を築きました。

このとき建てられたエル・モロ要塞、ラ・フォルタレサ要塞、サン・クリストバル要塞の3つの要塞と、それらに囲まれた街の風景が「プエルト・リコのラ・フォルタレサとサン・ファン国定史跡」として世界遺産に登録されています。

プエルトリコではどんな料理が食べられている?

プエルトリコはカリブ海に囲まれた島国です。その立地や歴史的背景から、近隣諸国やスペイン、アメリカなど様々な国の影響を受けて、料理もバラエティ豊かなものになっています。中でも「プエルトリコといえば!」な一品をご紹介します。

プエルトリコを代表する料理「モフォンゴ」

プエルトリコの料理で真っ先にあがるのがこちら「モフォンゴ」。お隣ドミニカ共和国でも食べられている、カリブ海らしさを感じられる一皿です。

作り方は、まず熟していない青いバナナを揚げます。このバナナはプエルトリコでおかずの材料としてよく使われるもので、日本で食べるような甘いものではありません。どちらかというと芋のような感じだとか。

揚げたバナナは潰して、オリーブオイルやニンニク、ベーコンなどのソースで味付けします。具材や調味料はお店や家庭によって異りますが、日本人にも好まれるホクホクとした美味しい食感のようです。

プエルトリコ料理はこれがないと始まらない!「ソフリート」

プエルトリコ料理には、欠かせない調味料があるんだとか。その名も「ソフリート」。ソフリートは、「油で軽く揚げる」という意味のスペイン語が語源になっているそうです。スペイン料理でもよく使われるものみたいですね。

プエルトリコでは家庭で自作する方も多いようですが、市販品も売られています。ニンニク、玉ねぎ、ピーマンなどを細かく刻み、オリーブオイルで炒めます。塩・胡椒などの調味料や、具材はお好みで変えてOK。

パスタソースやスープに足したり、グリルした肉や魚にそのままかけたり。常備しておくと何にでも使えて便利かもしれません。なんと、KALDIでも買えます。

プエルトリコにはクラフトビールもある!

プエルトリコのお酒といえば、ラム酒のイメージが強いかもしれません。プエルトリコ人はビールも大好き。南国のリゾートで、冷たいビールを飲むなんて考えただけでも最高ですよね。

鹿児島県ほどの大きさしかないプエルトリコ内にもいくつかの醸造所があり、プエルトリコ生まれのクラフトビールも作られています。そんなプエルトリカンビールをご紹介します。

Medalla Light(メダラライト)

プエルトリコで人気のビール醸造所「メダラライト」。淡い黄金色で軽い口当たり。モルトの甘味とサイダーのようなすっきりとした後味は、蒸し暑いプエルトリコにぴったりです。

Buyé(ブイエ)

2012年発売の、比較的新しいビール「ブイエ」。赤・白・青のプエルトリコ色の缶でお馴染みです。メダラライト同様、軽い口当たりのラガービールです。

Magna Special Craft(マグナスペシャルクラフト)

ハイネケンなどの輸入ビールに対抗して作られた「マグナスペシャルクラフト」。やっぱりこちらもプエルトリコの気候にぴったりのすっきりとしたラガービールですが、比較的濃いめの口当たりのようです。

プエルトリコには行くには?ビザは必要なし?

複雑な成り立ちと情勢ながらも、たくさんの魅力があるプエルトリコ。日本からプエルトリコに行くには、どうしたら良いのでしょうか。プエルトリコはアメリカ自治領なので、日本からアメリカに入国する際と同じくESTAの申請が必要です。ESTAを取得すれば、ビザの取得は不要です。


日本からプエルトリコ行くために必要なESTA

アメリカへの渡航時、事前に申請することでビザが不要になる制度です。申請するためには「ESTA申請ビザ免除プログラム対象国」のIC搭載パスポートを持っている必要があります。日本は対象国に含まれているのでご安心ください。ESTA申請に必要な条件は、これを含めて4点あります。

  1. 「ESTA申請ビザ免除プログラム対象国」で有効期間内のIC搭載パスポートを持っている
  2. 往復航空券(乗船券)または、他国に向かう航空券(乗船券)を持っている
  3. 渡航の目的が観光・短期のビジネス・乗り継ぎ
  4. 滞在期間が90日以内

ちなみに、ESTAの申請は渡航の72時間以内に行う必要があります。申請を忘れないように、ご注意を!



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