バルト三国の一番北にある国エストニアはIT先進国として有名ですが、実は首都タリンでは中世にタイムスリップしたかのような旧市街の街並みを見ることができます。城壁に囲まれたコンパクトな旧市街の中に中世の雰囲気満載の細い路地や階段等があり、数日滞在しても飽きることはありません。クオリティの高い博物館も複数あるので、博物館めぐりをすることもおすすめです。
今回は中世と現代が融合した魅力にあふれる町、タリンのおすすめ観光スポットについてご紹介していきます。
エストニアの首都タリンの歴史|今はIT先進国?
そもそもタリンはどのようにして発展してきたのでしょうか?その歴史について少しご紹介します。
遡ること11世紀頃に現在のタリンにエストニア人の砦が築かれたそうです。しかし、1219年に遥か西からやってきたデンマーク人によってその砦は占領され、タリンのトームペアという丘に城が築かれました。エストニア語でデンマーク人の城を意味する「Taani Lin」がタリン(Tallin)の名前の由来になったそうです。
その後、ドイツ人がタリンへ入植しにやってきて、1285年にタリンは北ドイツにあった巨大な商業同盟のハンザ同盟に加盟し、ロシアとの交易の中継地として発展することになりました。その時の繁栄の名残が今の美しい旧市街地として残されているそうです。
その後は当時の大国スウェーデン、ポーランド・リトアニア連合とロシアのちょうど真ん中あたりにあったタリンは、リヴォニア戦争の戦場となり衰退していきます。
スウェーデンによる支配の後、1710年には大北方戦争でスウェーデンを打ち負かしロシア帝国による支配が始まります。
第一次世界大戦で崩壊したロシア帝国からエストニア共和国として独立したのも束の間、第二次世界大戦ではソ連に併合されてしまいます。ソ連による支配の影響により、現在のエストニアではロシア系の住民やロシア語が流暢なエストニア人が多いです。
1991年には崩壊直前のソ連から独立し、大胆な政治経済改革ののちスカイプを開発する企業が現れるなど、IT先進国として発展することになります。旧市街の外には現代的な建物が立ち並んでいます。
エストニアはどこにある?タリンへの行き方
エストニアはロシアの西にあるバルト三国で最も北にある小さい国です。首都のタリンはフィンランドの首都ヘルシンキから海を挟んで向かい側にあり、ヘルシンキから船でタリンへ行くことも可能です。また、タリンからバルト海を挟んで西にはスウェーデンの首都ストックホルムもあり、そこからも船でタリンへ行くこともできます。
日本からのアクセスは飛行機でモスクワ、ヘルシンキ、フランクフルトなどから1回の乗り継ぎで行くのが一般的です。日本からの直行便はありません。
ポーランドやロシア(入国にはビザが必要)やラトビア、リトアニアから陸路での移動は可能ですが、ウクライナからの移動には、経由国にベラルーシが含まれる場合、トランジットビザが必要なので、ベラルーシ経由かどうかは要確認です。ポーランド経由の場合はビザは不要です。
エストニア・タリンの観光がおすすめの理由
タリンの魅力は…
- 旧市街がコンパクトなのに見どころが豊富
- ヨーロッパの中世の町の保存状態がとてもいい
- 見ごたえのある博物館がたくさんある
- 他の北欧と比べたら物価が安い
- 無料のWiFiが充実している
- 食べ物が美味しい(特に肉)
こんな人におすすめ…
- ヨーロッパの中世の世界を体験したい
- ヨーロッパの歴史に興味がある、またはヨーロッパの歴史を知りたい
- 北欧を旅行したいけどお金を節約したい
- ヨーロッパ中世の食事を味わってみたい
エストニア・タリンの旧市街は見どころ沢山!
タリンの見どころのほとんどは城壁の内側の旧市街に集中しています。タリンの旧市街は大きく分けて「山の手」と「下町」があります。
エストニア・タリンの旧市街「山の手」トームペアエリアの見どころ
「山の手」はトームペアと呼ばれる24メートルの丘で支配者階級や貴族たちが住んでいました。トームペアの丘にはトームペア城や大聖堂など見どころが多いです。また、旧市街を一望できる展望台もあります。少し急な坂道を登らないといけないので、歩きやすい服装、靴で行くことをお勧めします。
トームペア城
11世紀ごろにエストニア人の砦があった場所に、デンマーク人によって築かれた城がありましたが、その後スウェーデンやロシア等支配者が変わるごとに改築され、現在の形になったのは18世紀後半のロシアの女帝エカテリーナ二世の時代だと言われています。トームペア城の最大の見どころは15世紀当時の姿が残されている3本の塔のうち、南側の「のっぽのヘルマン(MAP)」と呼ばれる塔です。エストニアのシンボル的な存在だそうなので必見です。
アレクサンドル・ネフスキー聖堂
ロシア正教教会の典型的な玉ねぎ型の屋根が特徴的な教会です。その見た目と名前の通り1901年にロシア帝国によって建てられました。エストニアはその歴史からロシアに対して未だに警戒感を持っているそうなので、町の中心に堂々と鎮座するロシアの教会に対して複雑な思いがあるかも知れません。
キーク・イン・デ・キョクからみたアレクサンドル・ネフスキー聖堂
キーク・イン・デ・キョク(MAP)
トームペアの一番南にあるヨーロッパの中世風の49メートルの塔です。15世紀末に町の防衛のために作られ、外壁には砲弾が埋め込まれているのが見えます。塔の中は軍事博物館となっていて、塔の下には地下道のガイドツアーがあり、どちらも必見です。
展望台
トームペアには何か所かとても見晴らしのいい展望台があり、絵葉書のようにきれいな旧市街の写真を撮ることができます。
展望台おすすめスポット1MAP
展望台おすすめスポット2MAP
タリン旧市街地を一望できる展望台
エストニア・タリンの旧市街「下町」のみどころ
「下町」のエリアは活気あるラエコヤ広場を中心に中世ヨーロッパの街並みを見の前で楽しむことができるエリアです。ラエコヤ広場では様々なイベントがあり、歩いてるだけでもとても楽しいです。タリンの旧市街そのものが見どころなので、下町の隅から隅まで探索するのもおすすめです!
旧市庁舎
ラエコヤ広場にある中世風のオレンジ屋根に65メートルの高さの塔が特徴の建物です。1404年の姿のまま残されており、中世ヨーロッパにタイムスリップしたかのような姿を楽しむことができます。中の見学は有料で、塔にも別料金で登ることができます。
城壁
タリン旧市街の一番の魅力と言っても過言ではない迫力満点の城壁が旧市街を囲んでいます。城壁に沿って町を一周するのもとても楽しく、一部城壁に上れるところもあります。町の西にあるメイン通りの入り口のヴィル門(MAP)ではとてもきれいな写真が撮れます。
タリン旧市街の入り口ヴィル門
エストニア歴史博物館
元大ギルド会館があった建物を現在は歴史博物館として使っています。歴史ある建物の中の充実した展示は必見です。
ふとっちょマルガレータと海洋博物館
1529年にタリンの町を守るために建てられた砲塔です。直径24メートルで壁の厚さは4.7メートルもあり、見た目は名前通り「ふとっちょ」です。現在はもちろん町の防衛の為ではなく、海洋博物館として使われています。
海洋博物館は海に関する展示が豊富で、船の模型など見ごたえがあります。船や意味に関する道具に興味がある人におすすめです。
エストニア・タリン近郊のおすすめ!エストニア野外博物館
エストニア野外博物館へはタリンの駅の東側にあるバスターミナルから21番のバスで約20~30分で行けます。野外博物館はバルト三国や旧ソ連の国々によくあるのですが、どの野外博物館も見ごたえがあります。そこでは伝統的な農村の生活様式や建築などを見学したり、時期によっては伝統行事をやっているときがあります。また、郷土料理を食べることもできます。
野外博物館はのんびりとした雰囲気なので半日時間を割いてゆっくり見学するのがおすすめです。
エストニア野外博物館の場所はこちらから MAP
エストニアのタリンでしか体験できない!中世の食べ物が食べられるおすすめレストラン
エストニアのタリンの旧市街にある、まるでタイムスリップしたかのような本格的な中世風のレストランをご紹介します。
オルデ・ハンザ Olde Hansa
お値段は少し高めですが、中世をテーマにした本格的な中世風レストランです。メニューも15世紀の料理を再現したもので、味もしっかりと美味しかったです。パンとチーズっぽいものと鶉卵に、ピクルスと生の牛肉といったなかなかワイルドな料理を頂いたのですが、びっくりするくらい美味しかったです。(メニューの名前はReval’s Beef and Liver Paté Tasting Plate)そして、飲み物は中世のコーラと呼ばれるものを勧められるがままに頂いたのですが、ハーブの効いたカブトムシの餌のような風味で人を選ぶような味でした。因みに私は好きでした。
お会計は1600円くらいでしたが、レストランの中の雰囲気など込みですごくお得感があったので、すごくお勧めです。また、店員さんもすごく親切でした。
また、レストランに併設されたお土産屋さんで中世ヨーロッパの食器などを買うことができます。
オルデ・ハンザのホームページはこちらから
なかなかワイルドな見た目のメニュー「Reval’s Beef and Liver Paté Tasting Plate」
中世版のコーラ
ドラーコン III Draakon
ラエコヤ広場の旧市庁舎の1階に併設されている中世の雰囲気マックスの居酒屋です。値段も安く食べ物もとても美味しかったので、とても気軽に行けてお勧めです。
エルクスープと呼ばれるスープはスプーンを使わずに直接飲むように頂くのが中世風だそうです。また、大きい樽の中にピクルスがどっさり入っていて、槍のようなもので突き刺して無料で取って食べることができます。また、焼き立てのソーセージやパイなど気軽につまめるものや、がっつり食べれるリブがあります。
ドラーコンの店員の方はすごくフレンドリーで、中世の時代の人になりきってスープの食べ方やピクルスの取り方などを教えてくれます。居酒屋の雰囲気もとてもリアルな中世ヨーロッパの雰囲気で、オルデ・ハンザが商人などの中世の裕福な人の食事といった雰囲気に対して、ドラーコンは中世の庶民の居酒屋といった雰囲気でした。
ドラーコンのホームページはこちらから
入り口から中世の雰囲気が満載です
このカウンターで注文します
昔のスマホのカメラで撮影したので暗くて見えずらいですが、右からソーセージと無料で写真の右上の樽から頂いたピクルス、マッシュルームパイ、エルクスープ
執筆:ライターYさん