ヨーロッパには世界遺産が多く存在します。文化や歴史を伝えてくれる文化遺産、生物の進化の記録を証明したり、美しさに圧倒される自然遺産。「死ぬまでに見たいわたしの世界遺産リスト」を持っているの方も多いのではないでしょうか。
もともと世界遺産が多いヨーロッパの中でも、群を抜いて世界遺産登録数が多いイタリア。その数が多い理由と見どころ満載のおすすめ観光スポットをご紹介します。
イタリアに世界遺産が多い理由は?
イタリアといえば世界遺産、世界遺産といえばイタリアと言っても過言でないくらい、イタリアでは多くの場所が世界遺産に登録されています。
実際、国連のUNESCO公式ホームページを見ると、イタリアで登録されている世界遺産の数は、なんと55箇所。(2021年3月現在)
イタリアでは、なぜこんなに世界遺産が多いのでしょうか。まずは、その理由を探ってみました。
多い理由:そもそも、世界遺産にはどうやって登録されるの?
公益財団法人日本ユネスコ協会連盟の公式ホームページによると、世界遺産の登録基準は以下の10箇条で示されています。
i 人間の創造的才能を表す傑作である。
ii 建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。
iii 現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。
iv 歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。
v あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの)
vi 顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)。
vii 最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。
viii 生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。
ix 陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。
x 学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。引用元:公益財団法人日本ユネスコ協会連盟の公式ホームページ
イタリアの世界遺産のうち9割以上を占める文化遺産は、(i)~(vi)の観点で登録されていて、イタリアには文化や歴史を伝える建物や景観、街並みが多く残されているということができます。
多い理由:イタリアの歴史が今も多く残されている理由
イタリアに限らず、ヨーロッパ全域で世界遺産の登録数が多いです。これは、ヨーロッパの建築が「長く保つように」作られていること、立て直すのではなく修繕を繰り返して出来るだけ当初の素材を残すようにしていること、そもそも自然災害が少なく倒壊の危険が小さいこと、などが理由として挙げられます。
その中でイタリアは「すべての道はローマに通ず」という言葉にも表れているように、長らく周辺地域の文化と経済の中心地となっていました。
そのためイタリアは、そもそも「文化や歴史」を伝えるような建造物が多く、それらが残されるような環境にあったといえそうです。
イタリアの世界遺産はどこにある? 見どころまとめ
世界遺産はイタリアの国全体に点在しています。実際に訪れるときには、日本全国の8割もの面積を有するイタリアを隈なく回ることはできませんよね。そこで、見どころのある世界遺産を多く有する4都市をご紹介します。
私自身かつてイタリアの主要4都市をめぐる旅をしましたが、そのときは8泊10日で行きました。ざっくり1都市2日という計算です。
イタリア世界遺産めぐり1 3000年の歴史に圧倒!首都ローマ
まずはイタリアの首都、ローマです。かつて栄えたローマ帝国の都でもあった都市で、歴史的、文化的資産が集中して存在しています。
ローマの見どころあるおすすめ世界遺産としては、コロッセオ、フォロ・ロマーノがあります。
イタリアの世界遺産といえば「コロッセオ」
迷ってもここだけは押さえておきたい、ローマのシンボル。紀元80年頃に建てられた、古代ローマ初の石造円形闘技場です。「コロッセオが滅びるとき、ローマは滅び、そのとき世界も滅びる」といわれた程影響を与えた存在は、いまも変わらぬ威容を誇っています。
4階構成(4階は日よけの天蓋を張るための外壁)で、すべて異なる建築様式で建てられているそうです。各階のちがいを確認しながら回るのも楽しいかもしれません。
古代ローマにタイムスリップ「フォロ・ロマーノ」
コロッセオのすぐ隣にある、広大な遺跡群。「フォロ」とは公共広場のことで、古代ローマ時代に裁判所や神殿が置かれたり、商業活動の場として利用されたりして、多くの市民が集まりました。
チケットはコロッセオと共通となっているため、2箇所セットで訪れるのがおすすめです。
イタリア世界遺産めぐり2 本場ゴンドラに乗ろう!水の都ヴェネツィア(ベネツィア)
街そのものが世界遺産となっているヴェネツィア(ベネツィア)。車両進入禁止で、運河や水路が街のいたるところに張り巡らされています。建物の隙間をゴンドラで通り抜けたり、大理石でできた美しい橋を潜り抜けたりします。
街そのものが世界遺産だなんて、圧倒されますよね。ヴェネツィア(ベネツィア)を訪れたら、憧れのゴンドラに乗って水の都を存分に満喫してください。
ちなみに私の体験談の小ネタですが、ヴェネツィア(ベネツィア)は道も石畳で敷き詰められているのでスーツケースをもって移動するのは厳しかったです。ホテル代を安く抑えようと島の真ん中の方に予約したのは行ってみて初めて後悔しました(汗)。少しお値段が高くても駅の近くなど便の良いホテルをとることをおススメします。またもう一つの理由として島内は道が入り組んでいるので、宿を探すために何度も同じ場所をぐるぐるしてタイムロスでもありました。島内を自由に観光する分にはほんとうに素敵な街で私の好きな観光地ランキングで1位2位を争う街ですが、目的地を探すのは非常に大変でした。
イタリア世界遺産めぐり3 華やかな街並みを見に行こう!花の都フィレンツェ
フィレンツェのおすすめ世界遺産は、フィレンツェ歴史地区です。街の中心となる協会「ドゥオモ」(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)には展望台もあり、ルネサンス時代の街並みを見下ろすことができます。小さな街なので、徒歩とバスで十分に回れるのが嬉しいポイントです。
また、フィレンツェから電車で2時間程度で、かの有名なピサの斜塔にも行けます。ピサの斜塔が建つドゥオモ広場も、世界遺産に登録されています。斜塔の中でも上にいくほど、なかなかの傾斜があり、結構体力がいりますが、こちらも合わせて訪れたいスポットです。広場の芝生にはたくさんの観光客がいて、遠近法を用いたインスタ映えする写真を撮りあうのも楽しいですよ。
イタリア世界遺産めぐり4 一生に一度は見たい絵画がある!ミラノ
最先端のブティックやカフェも集まるミラノ。歴史的建造物なんてあるの?と疑問に思う方もいるかもしれません。
ミラノでは、サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会が世界遺産です。日本人もよく知る、レオナルド・ダ・ヴィンチの描いた「最後の晩餐」もこちらにあり、一緒に世界遺産となっています。厳重な警戒態勢がしかれているため、人数を制限して順番に入館し鑑賞するのですが、中は管理上ひんやりしていてより一層重厚感を感じさせます。人物がほぼ等身大で描かれているという壮大な壁画は、イタリアの世界遺産の中でも必見です。
いかがでしたでしょうか。イタリアにはこのほかにもまだまだ世界遺産がありますが、初めてのイタリアであればぜひこの主要4都市、もしくはいずれかを訪れてみてください。
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